第3章 ターミナルとの初対面 — コピペでいい、と知る
ここまでで、Code がいかに頼れる相棒かを体験してもらいました。一文の依頼で動くアプリが出てくるあの感覚は、何度味わっても気持ちいいものです。
ただ、Code をもう少し本格的に使い始めると、必ずどこかで「ターミナル」と出会うことになります。あの黒い画面です。
YouTube で AI コーディングの動画を見たことがある人は、もしかしたら見た瞬間に「うっ」となったかもしれません。文字がブワーっと流れていて、何が起きているか分からない、あの画面。
でも、安心してください。**ターミナルは「自分で書く場所」ではなく「Code に言われたコマンドをコピペする場所」**だと割り切ってしまえば、もう怖くないんですよ。
第3章ではこの割り切り方を体に染み込ませます。最低限の知識だけ持って、ターミナルを「コピペ専用窓口」として使えるようになれば、それで充分です。
3-1. ターミナルとは何か — 黒い画面の正体
【学習目標】
- ターミナルを起動して、画面に何が表示されるかを目で確認する
- 「黒い画面そのもの」がターミナルだという感覚を持つ
【前提知識】
- Claude Code が手元にあること(第1章まで完了済み)
【概念解説】
ターミナル、と聞くと身構えますよね。僕も最初はそうでした。
でも実体は、**「コマンドを打って結果を見る、ただのアプリ」**です。Excel や Word と同じレベルの、PC に最初から入っているアプリの1つに過ぎません。
第2章で整理した登場人物を改めて:
- ターミナル = 黒い画面の窓口アプリそのもの
- シェル(bash や zsh) = ターミナルの中で実際に動いている翻訳者
- CLI = 文字で命令を出すスタイル全般
実用上は「ターミナル」と一言で呼べばOK。
そして本書では、ターミナルを「Code が出すコマンドをコピペで実行する場所」としてしか使いません。自分で何かを覚えて打ち込む必要はないので、ハードルがガクッと下がります。
【ハンズオン手順】
▼ ターミナル側でやること(Mac の場合)
- Spotlight 検索(⌘+スペース)で「ターミナル」と打つ
- 「ターミナル.app」が出てくるので、開く
- 黒い背景か白い背景の画面が出てくる
- プロンプト(
%や$のような記号)の右側でカーソルが点滅していれば成功
▼ ターミナル側でやること(Windows の場合)
- スタートメニューで「ターミナル」と検索
- 「ターミナル」または「Windows Terminal」を開く
- PowerShell が起動する。プロンプト(
>のような記号)が点滅していれば成功
▼ スクショ伴走のチェックポイント
- 開いたターミナルの画面のスクショを撮っておくと、後で「自分のターミナルはどんな様子か」を Code やブラウザに聞きたい時に使えます
▼ 困ったら聞く例
- ブラウザに →「ターミナルを開いたら、先頭に変な文字(
yuzosaito@MacBook-Air ~ %)が表示されています。これは何ですか?」
【つまずきポイント】
- 「プロンプト」と呼ばれる先頭の文字列(
%$>など)に動じない。あれは「ここに打って」を意味する記号です。意味不明な文字がいるのが普通 - 「カーソルが点滅している」=「入力待ち」。打ち込んでいい、と思って大丈夫
- Mac で開いたら閉じ方が分からない時は、⌘+Q または ⌘+W で閉じれます
【確認問題】
- ターミナルとシェルは、別物ですか?
- ターミナルの先頭に表示されている
%や$は何と呼ばれますか?
【次のレッスンへの橋渡し】
ターミナルが手元に来ました。次のレッスンで、このターミナルを「コピペ専用窓口」にするコツをお伝えします。
3-2. ターミナルは「Code が出すコマンドをコピペする場所」と割り切る
【学習目標】
- ターミナルを「自分で打つ場所」ではなく「Code に言われたコマンドを貼る場所」と認識する
- コピペの流れを実際にやってみる
【前提知識】
- 3-1 でターミナルを開けたこと
【概念解説】
ターミナルとの付き合い方には、実は2つの流派があります。
流派1:自分で覚えて打つ
- 何百個もあるコマンドを覚える
- オプションも覚える
- ショートカットキーも覚える
- これは「エンジニアの修行」スタイル
流派2:Code に言われたコマンドをコピペで打つ
- Code が「これ実行してね」と教えてくれる
- それをコピペしてターミナルで Enter
- 結果のスクショを Code に返す
- これは「コピペで実用」スタイル
このカリキュラムは流派2を採用しています。なぜなら、僕自身が3週間で複数のアプリを作るまで、ほとんど流派2だけで通してきたからです。流派1を学ばなくても、十分に作れます。
「これでいいの?」と心配になるかもしれません。いいんです。プロのエンジニアでも、誰もコマンドを全部覚えてはいません。Google で検索したり、AI に聞いたりしながら使っています。あなたも同じことをしているだけです。
【ハンズオン手順】
▼ Code 側でやること(コマンドを依頼する)
- Code を開く
- 入力欄に次のように打つ
今、自分のターミナルで打って、今いるフォルダの中身を一覧表示する
コマンドを教えてください。コピペで実行したいので、コマンドだけを
コードブロックで返してください。
- Code が
lsというコマンドを教えてくれるはず(Windows ならdir)
▼ ターミナル側でやること(コピペで実行する)
- Code が表示したコマンドの右にあるコピーボタンを押す
- ターミナルにフォーカスを移す
- ⌘+V(Windows なら Ctrl+V)でペースト
- Enter を押す
- フォルダの中身がブワッと表示される
おめでとうございます。これがコピペで実行する、ということです。たったこれだけ。
▼ スクショ伴走のチェックポイント
- 実行結果が表示されたターミナル画面のスクショを撮って、Code に「これで合ってる?」と確認するのもアリです
▼ 困ったら聞く例
- Code に →「コマンドを実行したら
command not foundと出ました。何が間違っていますか?(実行画面のスクショを添付)」
【つまずきポイント】
- コピペした時に余計な文字が混ざらないように注意。コードブロックのコピーボタンを使えば余計な文字は入りません。手動で範囲選択するとプロンプトの
%も一緒にコピーしてしまうことがあるので注意 - Enter を押すまでは実行されない。打ち間違いに気づいたら、Backspace で消して打ち直せばOK
- 「実行結果がよく分からない」のは普通。分からなければスクショを Code に貼って「どう読めばいい?」と聞きましょう
【確認問題】
- 本書では、ターミナルでコマンドを実行する時に「自分で覚えて打つ」「Code に教えてもらってコピペする」のどちらを推奨していますか?
- コードブロックの内容を確実にコピーするには、何を使うのが安全ですか?
【次のレッスンへの橋渡し】
コピペの流れができました。次は、それでも知っておくと安心な「最低限の3コマンド」だけご紹介しておきます。覚えなくていいです、念のため見ておくだけ。
3-3. 最低限の3コマンド — 覚えなくても Code に聞けばいい
【学習目標】
lscdmkdirの3つのコマンドが何をするか「なんとなく」分かる- 「覚えなくても Code に聞けばいい」を体に染み込ませる
【前提知識】
- 3-2 でコピペ実行ができたこと
【概念解説】
「覚えなくていい」と言いつつ、それでもよく出会う3つだけご紹介しておきます。
ls — フォルダの中身を見る
ls
これだけ。意味は「list(リスト)」の略。実行すると、自分が今いるフォルダの中身が表示されます。Finder(Mac)やエクスプローラー(Windows)でフォルダを開くのと、結果は同じです。
cd — フォルダを移動する
cd practice
cd は「change directory(ディレクトリを変える)」の略。cd practice で practice というフォルダの中に「入る」ことができます。
ちなみに cd .. と打つと「1つ上のフォルダに戻る」。これも知っておくと地味に便利です。
mkdir — 新しいフォルダを作る
mkdir my-project
mkdir は「make directory(ディレクトリを作る)」の略。mkdir my-project で my-project という新しいフォルダが、今いる場所に作られます。
ただし、繰り返しになりますが、この3つも、覚える必要はないです。「あ、何かフォルダ移動したい」と思った瞬間に Code に聞けば教えてくれます。これらを紹介しているのは、Code が出してくるコマンドの中にこれらが含まれていた時に「あ、これは知ってるやつだ」と気づけるだけのため。
【ハンズオン手順】
▼ ターミナル側でやること(3つ全部やってみる)
- ターミナルを開く
lsと打って Enter。今いるフォルダの中身が見えるはずmkdir test-folderと打って Enter。新しいフォルダができるcd test-folderと打って Enter。そのフォルダに移動- もう一度
lsと打って Enter。空っぽのはず(作ったばかりなので) cd ..と打って Enter。1つ上のフォルダに戻る
▼ スクショ伴走のチェックポイント
- 上記の流れを終えた画面のスクショを撮っておくと、後で「自分はターミナルで何ができたか」を振り返れます
▼ 困ったら聞く例
- Code に →「
cd test-folderと打ったらNo such file or directoryと出ました。どうすれば?(スクショ添付)」
【つまずきポイント】
lsの結果が「色付き」で出ても驚かない。Mac のターミナルは初期設定でフォルダは青、実行ファイルは赤、などの色分けをしています- 大文字小文字に厳しい。
Test-folderとtest-folderは別物として扱われます - 半角スペースのある名前は要注意。
My Folderのような名前はMy\ Folderまたは"My Folder"のように工夫する必要があります(最初は半角スペースは避けるのが無難)
【確認問題】
mkdirは何の略ですか?- 今いるフォルダの1つ上に戻るには、どんなコマンドを打ちますか?
【次のレッスンへの橋渡し】
たまには Code に頼らず自分で打ってみる経験も悪くないですが、基本はコピペでOKです。最後に、これが最重要なのですが、「エラーが出た時の対処」について見ておきましょう。これさえ覚えれば、もうターミナルは怖くないです。
3-4. エラーが出たら全文スクショして Code に貼る
【学習目標】
- ターミナルでエラーが出ても動じない心構えを持つ
- エラーが出た時の対処フローを身につける
【前提知識】
- 3-3 までを読んでいること
【概念解説】
ターミナルを使い始めると、必ずエラーに遭遇します。必ず。これは初心者でも、プロでも同じです。
エラーが出た時の画面を最初に見ると、「画面が赤い文字でいっぱい!何か壊した!」と心臓がバクバクするかもしれません。でも、ほとんどの場合、何も壊れていません。ファイルも消えていません。あなたのPC は無事です。
ターミナルのエラーは、たいてい「そのコマンドはこういう理由で実行できなかったよ」というお知らせに過ぎないんですよ。だから、慌てないことが第一歩。
そして、エラーが出たら、即・全文をスクショして Code(またはブラウザ)に貼る。これが鉄則です。
なぜスクショで充分かというと、
- Claude は英語のエラーメッセージを完全に読めます
- 何が問題で、どう直せばいいかを日本語で説明してくれます
- 場合によっては「次にこれを打ってください」と具体的なコマンドを返してくれます
つまり、エラーに対処する力 = スクショを撮って貼る力、なんです。
【ハンズオン手順】
▼ ターミナル側でやること(あえてエラーを出してみる)
- ターミナルを開く
cd asobi-no-folderのような、存在しないフォルダ名を入れて Entercd: no such file or directory: asobi-no-folderのようなエラーが出る- このエラー画面のスクショを撮る(Mac は ⌘+Shift+4、Windows は Win+Shift+S)
▼ Code 側でやること(エラーを貼って聞く)
- Code の入力欄に、スクショをドラッグ&ドロップ
- 「このエラーが出ました、どう対処すればいいですか?」と打って Enter
- Code が「これは存在しないフォルダ名を指定したエラーです。○○すれば解決します」と教えてくれる
▼ ブラウザ側でやること(Code が忙しい時の代替)
- もし Code が他の作業中なら、同じスクショをブラウザに貼って同じ質問をしてもOK
▼ スクショ伴走のチェックポイント
- エラーが出た時、慌てる前にまずスクショ。これを反射的にできるようになると、ターミナルへの恐怖心が消えます
▼ 困ったら聞く例
- Code に →「ターミナルで○○を実行したら、こういうエラーが出ました(スクショ)。どう直せばいいか教えてください」
- ブラウザに →「このエラーメッセージの意味を、できるだけ分かりやすく日本語に翻訳して、対処法も教えてください(スクショ)」
【つまずきポイント】
- 「エラーは恥ずかしい」と思わない。プロでも毎日見ています。エラーの数だけ学びがあると思って、淡々と対処しましょう
- エラーメッセージの英語を頑張って読もうとしない。読むのは Code の仕事です。あなたの仕事は貼ること
- スクショではなく、エラー文をコピペするのもOK。むしろコピペの方が Code が正確に読めることもあるので、慣れてきたら試してみてください
【確認問題】
- ターミナルでエラーが出た時の、最初の行動は何ですか?
- ターミナルのエラーメッセージは、たいてい「致命的に何かを壊している」サインですか?
【次のレッスンへの橋渡し】
第3章はこれで完了です。たった4レッスンですが、もうターミナルは「コピペ専用窓口」として使える状態になっているはずです。これ以上ターミナルについて勉強する必要はないですよ。
次は第4章で、Code(Claude Code デスクトップアプリ)そのものをもう少し丁寧に理解していきます。第1章ではサクッと入れて使い始めましたが、ここでようやく「3つのフロントエンド」「2つの Claude」「モード選択」といった基本知識を整理します。